プロフィール
京都市街に近いのどかな場所。
春は京野菜として名高い白子筍が農業倉庫に並びます。夏は緑の田んぼでアマガエルが毎夜の大合唱。一年を通して近所の農家の朝どり野菜は食べ放題。
結婚し、ここに住まい、夢中で子育てをし、制作に励み、気付けば二十数年たっていました。
無我夢中の日々は、すんでしまえば夢のよう。子供は独立して遠くに行き、さあ思うさま制作に打ち込むぞ!とは、何故かならなかったのです。
自分のなかのおおきい場所がすかっと空いてしまったような・・・?悲しくはないけれど、あれ?これは喪失感というやつなのでは?
出来たゆとりの時間でじっくりと自分の状況を眺めわたしました。結婚、出産が人生の大きな転機なら、ここは次のターニングポイントなのでしょう。
そして気づきました。
今までと同じことをしていては違うのだ、いや、同じことをしなくても良いのだな、と。
では何をしましょうか。何か新しいことをしてみたい。
今までは京都とその近辺での作品展中心の活動でした。
それ以外の場所や人とも繋がってみたいな。しかし生来の引っ込み思案、仕事部屋にこもっているのが大好きなものぐさ人間。新しいことなどほとんど知らない。でも・・・そうだネットはどうだろう?それなら遠くの方にもわたしの作品をご紹介できるかも!
何も知らないくせに、我ながら無謀です。しかし時間はあるのだから勇気をだそう!
わたしにとって、ガラスは宝石です。ちょっとむかしは、ガラスは安物、偽物というイメージもありました。わたしはガラスというこの世にひとつの宝石をつかったジュエリーなのだと思いながら作っています。
抽斗いっぱいの色ガラス棒を眺めて、組合せを考え、小さなバーナーで真っ赤に溶かして模様をつくり、時には金や銀の箔を混ぜ合わせ、再びそれを電気炉で焼いたり、何度も手を入れてひとつのガラスを創ります。
この世にひとつの、珍しい鉱石のような、磨かれた化石のような輝く宝石をつくりだす工程は何年やっても飽きません。
それに合わせる金属はすべて950銀です。銀の板や線を切り、やすり、伸ばし、叩き、ロー付けし、磨き、という彫金の技法を使います。手のひらに載るくらいの作品ですが、小さな仕事部屋にみっちり詰まった工具を駆使してつくるのです。
ガラスも銀も、古代から人々に愛された素材。丈夫で長持ちします。
流行にも左右されず日常のおしゃれを助けささえてくれる優しく気立てのよい子たちです。
もし、縁あってわたしの作品に出会い、お気に入りを見つけられましたら、あなたのこの世でたったひとつの宝石にしてやって下さいませんか。
2001年 朝日クラフト展入選
2001、2004,2007年グラスクラフトトリエンナーレ展入選