丸底でかバッグ　たんぽぽのお花畑（霧の中バージョン）

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　このところ、ダイヤプーリアという糸にどハマり。最初に「原っぱバージョン」（2024年7月アップしました）を編んで、次にたどり着いたのが、「夜の空バージョン」（同じく2024年7月にアップしました）。そして、次に浮かんだのが、「霧の中バージョン」だった。深い霧の中、何も見えないようでも、たんぽぽたちは煌めいている。希望も何もないような時でも、たんぽぽたちは「大丈夫だよ、なんとかなるよ」と言ってくれる。還暦を迎えた私の場合、希望がないということはもうないのだけど、そして、今までの人生を振り返ってみても、全く希望がなかったことはないのだけど、「これは、マズイ」と思ったことは何度かあった。
　その中の一つですが、まだ、26歳の時のこと。主人と25歳で結婚して、入籍だけして、「やっぱり、結婚式だけはしておけ」と両方の親から言われて、しぶしぶ母校の大学のチャペルで結婚式をすることにして、母校のチャペルの結婚講座に出て、入籍から一年後の結婚記念日に結婚式をすることにして、準備を進めていた時のこと。主人が、大学で（母校とは違う大学の博士課程にいた）「ラグビーをしたら、〇〇たまにボールが当たって腫れた」と言って私にそれを見せたのだけど、腫れ方が尋常ではなかったのです。その頃私は、出版社で編集の仕事をしていて、偶然「男の子がかかる病気」の企画の仕事をしていて、男の子の病気の本を何冊か読んでいて、「えーっ、睾丸腫瘍じゃない？」と思ったのです（今は、精巣腫瘍と呼んでいるみたいだけど、当時は睾丸腫瘍と呼んでいた。精巣のガンです）「これはマズイ」と。本能的に「マズイ、マズイ」と。「すぐ病院に行って！」と。主人も、マズイと思ったらしく翌日大学の近くの病院に行ったら即検査。そして、二、三日して、私の勤めている会社に病院から電話があり、「すぐ来てください」と。覚悟を決めて行ったら、「最悪の事態を覚悟していてください」と言われ、「どうしよう？」と。そして、専門書を買いあさって読み、「タチが悪いノンセミノーマか？」と。真っ暗な先の見えない闇の中にいるような感覚だった。でも、ここからが私のスーパーポジティブなところなのだけど、「主人と二人で、タチの良いガンになるよう神様にお祈りしよう！」と決意。知り合いのセラピストの人に、「ガンが消えていく」というイメージ療法のテープを無理を言って作っていただき（ちょっと怪しげですが、頼れるものにはなんでも頼るというやつです）、二人で、夜、寝る前に、テープを聴きながら、ガンが消えていくイメージを思い浮かべて、ガンであることは変えられなくてもタチの良いガンになるようにと祈ったのです。そして、手術してみたら、リンパ節への転移もなく、右精巣を摘出して、見た感じでは、最初の見立てと違ってタチの良いガンの可能性が高いということに。今から35年ほど前はまだ、ガンの本人への告知は一般的ではなかったから、今にして思うと、色々笑える話もあるのだけど、それは置いておいて、精密検査の結果、セミノーマというタチの良いガンで、転移もないけど、一応放射線の治療を2クールしましょうということになり、放射線治療をして、主人は、ヘロヘロの状態で、結婚式をしたのです。結婚式が、ちょうど、6月で、梅雨入りしていたけど、雨は降っていなくて、曇り空。真っ暗闇から抜け出して、霧の中にいる気分。「あぁ、この霧、もうすぐ消えるなぁ」と思った。そこに咲いていたのは、たんぽぽ。「やっぱりなんとかなる」と思った。そういう要所要所にたんぽぽは現れる。「さすが、たんぽぽ！」
　主人は、右が弱いのか、精巣腫瘍も右で、右耳も、10年前、突発性難聴で聞こえなくなった。そうしたら、今度は私が、2019年に乳がんで、右乳房を全摘で、主人の母から「片チン、片パイ夫婦だね」と言われているのだけど、私も右だった。ちなみに腱鞘炎も右のほうが左よりひどかった。でも、不思議なことに、私は、死ぬということは神様が決めると随分前から思うようになっていて、この世でするべきことが終わったら、多分神様に呼ばれるのだろうなぁと思っているので死ぬことがそれほど怖くないのです。
　そんなことを思い巡らせながら、ポーチを編んで、バッグにたどり着いた。たんぽぽは教えてくれる。「大丈夫！なんとかなる！」と。そして、風まかせに綿帽子を飛ばして、命を、希望をつないでいく。自分が動けない時でも、状況は変えられる。「綿帽子を飛ばせ、希望を飛ばせ、希望を発信していけ、命をつないで行け！」と。植物って、たんぽぽって奥が深い。今更ながら、感心する。いつも私が言いたいこと「希望は無くならない、なんとかなる」。たんぽぽはそれを教えてくれた。そんな思いで作ったバッグです。
　今回、出来るだけリアルなたんぽぽを編み込みたかった。でも、ニットの編み込みなので、限界がある。それでも、葉っぱの部分に４種類の糸を使い、糸を二本どりにして、また、夜露の乗っかっている葉っぱのイメージでラメ入りの糸を使ったり、工夫しました。出来上がった編み地を写メで友人に見せたら「リアルたんぽぽだね」と言われ、「ウフッ」と。ただ、材料費がものすごく高くなってしまって、それでもかなり頑張っての価格設定です。申し訳ないです。
　ベースは、ダイヤプーリアのグレー系の糸を使用。葉っぱは、ダイヤタンゴの二本どり、野呂英作の「つむぎ」、パロール（廃番）の二本どり、スキーウォシャブルUVで。花の部分をザンビアプリント（廃番）の二本どりと、スキーウォシャブルUVで。ほぼほぼ二本どりなので、糸代が倍かかっています。持ち手は、カフカリボン 。ラッキーチャームのてんとう虫が入った柄。60mmのリネンテープ で補強しています。リネンテープ も値上がりしています。裏地は、リバティプリント。バッグの形を整えるために硬めの接着芯を使っていてハリがあります。だいたいイメージ通りの仕上がりになったのですが、ダイヤプーリアという糸が、てろんとした糸なので、編み地が、何かに引っかかって糸が毛羽立った感じになる可能性があり、また、無理な編み方をしているので、編み地から何かに引っかかって糸が飛び出てくる可能性があります。かぎ針で中に引き込んでいただければいいのですが、気になる方はご購入をお控えください。ポッケは大きめなポッケを二つです。相変わらずミシンとお裁縫が苦手な私の腕と、高い材料費を考慮した価格設定です。持ち手のカフカリボン は、くしゃくしゃになって交換したいというのであれば交換可能です。4,000円ほどです（送料は別）。リボンの在庫がない場合はお取り換えはできません。また、バッグ本体と裏地は、手縫いで縫い合わせています。万が一、解けてしまった場合、お客さまの方で縫い合わせ可能だと思いますが、送料はいただきますが、当方での縫い合わせは無料です。また、メンテナンスには可能な限り対応いたしますので、何かございましたら遠慮なくご連絡ください。ただし、故意によるものには対応できません。ご容赦ください。もらってくださる方がいなかったら自分で使おうと思い作った究極の自分仕様の丸底でかバッグです。お気に入りの作品に仕上がりました。
　また、以前記載したと思いますが、私はよくいろんな方から「編み物を教えてください」と言われるのですが、体力がない上に、ニット以外にもしていることがあり、応じるのが無理なのでお断りしています。その代わり、ネットにアップした作品に使用した糸の種類は出来るだけ詳しく記載しています。とは言っても、あまり詳しく書くと勉強にならないので、糸の種類だけ記載して、あとは調べてくださいという感じです。ある程度ニットをやっている方なら、調べればわかるという範囲内です。編み込み好きが増えるといいなぁと思いながら記載しています。

《使用糸》 ダイヤプーリア　アクリル56％　ポリエステル28％　レーヨン16％
　　　　 　野呂英作　つむぎ　コットン56％　レーヨン44％
　　　　　ダイヤタンゴ　コットン45％　アクリル50％　キュプラ3％　ポリエステル2％
　　　　　スキーウォシャブルUV コットン50％　アクリル50％
　　　　　パロール（廃番）　コットン56％　レーヨン44％　
　　　　　ザンビアプリント （廃番） ピュアオーガニックコットン100％
《裏地》 リバティプリント（タナローン ）コットン100％
《持ち手》 カフカリボン ドイツ製
　　　　　リネンテープ リネン100％　ドイツ製