巾着　スミレ

　以前、当工房の作品をご購入いただいた方から、「ビオラのバッグを見て以来、こちらのサイトを拝見させていただいております。再販やオーダーは、なさらないとのことですが、新たにで良いので、ビオラのバッグか巾着を作っていただけたら嬉しいです」とのメッセージをいただいたことがあります。私も、ビオラは好きなモチーフなので、「ビオラのバッグと巾着を作ろう！」と、デザインを考えていたのですが、多分、以前ネットにアップした、ビオラのバッグや、巾着のイメージが強いのだろうなぁと思い、最初、そこに寄せて作ろうとリバティのビオラの柄のタナローン も２種類（ホビーラホビーレ・バージョンの、「Think of Me」です）を購入して、考えたのだけど、いいデザインが浮かんでこない。頭の中でいろんなイメージを浮かべて、悩んだ末たどり着いたのは、いつも、春先に、近所のスーパーの近くで咲いている、電柱と、コンクリートの隙間から生えていて、私が「ど根性スミレ」と勝手に名付けている、野生のスミレだった。まず試し編みで、巾着から編もうとデザイン。それがこの巾着です。頭の中で、全体のバランスを考えて、色糸が響き合って、楽しくて、ワクワクして、優しい気持ちになれるような感じにと、糸を選んで、編んでみました。バッグも作ろうかと思ったのですが、この図案でバッグへの展開は難しいなぁと思い、それはやめて、またまた考えていたら、ついにビオラのデザインが浮かんだ。でも、そのデザインは、メインのビオラの模様のベースの糸がブラックで、どちらかというと夜のイメージです。そして、まだ、完成図は私の頭の中にしかないのです。それでも、材料だけはちゃんと揃えていて、GWに長野で覗いた、軽井沢のハルニレテラスに入っている「CHECK & STRIPE」で、ブラック〜ネイビー系のビオラの柄のリバティの「Think of Me」も購入して、持ち手用のカフカリボンもモノトーンの花柄のリボンを購入して、スタンバイはしています。こちらは、巾着とバッグと両方製作する予定です。何もなければ、9月か、10月にネットにアップする予定です。オーダーではないので、どなたの元へ行くかは分からないけれど（ご購入いただけるかどうかもわからないけど）、サイトを覗いてみてください。
　そして、また、「スミレ」の巾着に話を戻しますが、野生のスミレも好きで、また、カタクリも好きで、自分の中で、カタクリが群生して咲いているイメージで、この「スミレ」の巾着を作りました。季節は春先のつもりでデザイン。下の層は、ホトケノザの群生しているイメージで。真ん中は、野生のスミレがカタクリのように群生しているイメージで。上の段は、スミレがポツンポツンと咲いているイメージで。落ち着いた色合いで、そして大人可愛い感じになるように、ワクワク感もあって、と。スミレには、ラメの入った糸も入れています。裏地は、リバティプリントの「Think of Me」ビオラの柄。ホビーラホビーレで購入したものです。使用した糸は、コットン素材が主ですが、スミレの色（パープル系）のコットンヤーンは、実はなかなかメーカーでの取り扱いがないのです。たまに出ても、パープル系の色糸は、すぐ廃盤色になるし、この20年ほど、イメージ通りの色糸に巡り会えたことがない。なので、20年以上前に購入した糸をちびちび使ったりもしています。刺しゅう糸だと、まだ、イメージ通りのものがあるのですが、無茶苦茶高い材料費になってしまうので、なかなかそれは、できない。難しいです。また、当工房の作品の値段を高いと思われる方もいらっしゃるかもしれないのですが（当工房の作品を購入した知人がそう話していた）、ちゃんとご自分で作っておられる方から見ると、当工房の作品はものすごく安い値段です。「こんな安い値段で出すの？」とよく、言われます。当工房の価格設定は、イメージとしては、バッグの場合、原材料費の約二倍の値段です（また、お裁縫とミシンが苦手な私の腕を考慮しての値段です。ポーチや巾着は、バッグを編むための試作品ということもあり、さらにお安い値段設定です）。それはどういうことかというと、元々の材料費と、次に編む作品の材料費がギリギリ、捻出できる金額です。工賃は入れていないのです。儲けはないです。また、ここのところの物価高の流れは手芸業界にも表れていて、ここ数年で材料費がかなり上がっています。儲け度外視でも、材料費は稼ぎたいので、以前より作品の価格が高くなっています。また、よく、実店舗を持っておられる方から、「うちで置いてみない？」と声をかけられるのですが、その場合は、今、ネットショップでつけている値段の二倍以上の価格設定をしないと元が取れないということもあり、また、ニット以外にしていることもあり、時間に余裕がないので、お断りしています。
　私の場合、手芸作品を、ただ、作って売るだけではなくて、作品にストーリーを編み込んで、ストーリーごと楽しんでいただきたくて製作しています。なので、ご購入いただかなくても、ストーリーを楽しんでいただけるだけで私としては大満足なのです。「作品を見て、添えられた文章を読ませていただけるのがすごく楽しみです」とおっしゃってくださるお客様も結構いらして、もうそれだけで、私はすごくハッピーなのです（とは言っても、ご購入いただかないと材料費が出ないので、気に入った作品があったらご購入いただけたら嬉しいです）。元々のショップのネーミングがバーネット作の「秘密の花園」なので、当工房のお客様は、多分その世界観が好きという方がほとんどだと思います。「可愛いから」だけで、購入していただいても、私としては大満足なので、構わないのですが、やっぱり「シークレットガーデンのあるじ」の個性が出てしまうので・・・、クセが強いと思います。そんなわけで、私の頭の中の遊びと、私の自己満足の世界にお付き合いしていただいて、申し訳ないという気分なので、儲けは考えず、お値段を抑えて、当工房の世界を楽しんでいただこうと思ってつけているお値段です。米津玄師さんの「クランベリーとパンケーキ」の歌詞ではないのですが、「こんな馬鹿な歌ですいません。嗚呼毎度ありがたし」の気持ちです。
　今回の巾着では、ベースをカブレ2005（廃番）とコットンコナ で、編み込み部分を、ダイヤプーリアの二本どりと、スキーウォッシャブルUV、コットンコナ （廃盤色を含む）、ダイヤタンゴの二本どり、襲（廃番）の二本どり、アプリコ（廃番）の二本どり、メーカー不明のものを使用しています。裏地は、リバティプリント、ビオラの柄（写真を参考になさってください）。革ひもは国産です。革ひもを外して、ネットに入れて、洗濯が可能です。また、巾着の本体と裏地は、手縫いで縫い合わせています。万が一、解けてしまった場合、お客さまの方で縫い合わせ可能だと思いますが、送料はいただきますが、当方での縫い合わせは無料です。また、この巾着の裏地は手縫いで縫っています。ご理解ください。相変わらずお裁縫が苦手な私の腕も考慮した価格設定です。また、メンテナンスには可能な限り対応いたしますので、何かございましたら遠慮なくご連絡ください。ただし、故意によるものには対応できません。ご容赦ください。お気に入りの作品に仕上がりました。ちょっとそこまでにも良さげです。

《使用糸》 カブレ2005 （廃番）コットン100％　
　　　　 　ダイヤプーリア　アクリル56％　ポリエステル28％　レーヨン16％
　　　　 　スキーウォッシャブルUV コットン50％　アクリル50％
　　　　 　コットンコナ （廃盤色を含む）　コットン100％
　　　　 　ダイヤタンゴ　コットン45％　アクリル50％　キュプラ3％　ポリエステル２％
　　　　 　アプリコ（廃番）コットン100％
　　　　 　襲（廃番）シルク100％
《裏地》　　 リバティプリント（タナローン ）　コットン100％
《ひも》　　 革ひも（国産）（絞った時の長さ　約24cm）