ペタンコでかバッグ　ハコベ（『草の辞典　野の花・道の草』からのインスピレーション）

　ここのところ気に入ってハマっている『草の辞典　野の花・道の草』という植物辞典。この本からインスピレーションを受け、ナズナのバッグとポーチを編み、ナズナに引き続き、ハコベのバッグも編んでみました。とにかく写真がすごいのです。ナズナで驚き、ハコベでまた大感動！「こんなハコベの写真見たことがない。著者の森乃おとさん、只者じゃない」と。ハコベが咲き乱れているのだけど、ハコベの花一つひとつに著者の愛情が込められている。そして、一つの宇宙になってる！「この感動を表現したい！」と。でも編み込みの場合、クロスステッチと同じで、マス目が決まっているから、そこで、表現方法がかなり限定されてしまうのです。フリーステッチだったらできることでも、クロスステッチやニットの編み込みはマス目を埋めていく作業なので、どこかを省略しなければいけない。すごく悩んだ末、デザインを考えて、出来上がった図案を見てこれが私の限界だなぁと思った。そしてまたまた、野呂英作の「くれよん」に頼った。そして、色の出方を見るために、最初、ポーチを編んでアイロンを当ててみたら、収まりが悪くて、一度、少し解いて、もう一柄編み込んで増やしてみた。そして、丸底ちびバッグにしようと。こちらも今回アップしておりますが、それで訳ありということで少しお安くご提供しております。一方、このバッグですが、ハコベの宇宙観（とてつもなく広い感じ）も表現したくて、かなりでかめのバッグに作りました。いかがでしょうか？
　私の中で、ハコベは特別な花の一つ。小学生の頃に飼っていたジュウシマツの思い出につながっています。同級生が、みんな、小鳥を飼っていて、友達の家に行くと、自慢げに見せられるので、自分でも飼いたくなった。そこで、父と母に「ジュウシマツを飼いたい」と言ったら、「ちゃんと自分で世話をするなら飼ってもいい」と言われ、つがいで買ってもらいました。もう嬉しくて、毎週日曜日は、鳥かごの掃除をして、お小遣いをもらって、ひえやあわを買いに行き、水飲み場を作り、度々水を替え、時々庭の草むしりの時に、ハコベを庭から引き抜いてはジュウシマツに与えていたのです。そして、つがいなので、時々卵を産む。その度にヒナが孵るかドキドキしながら見守っていたのだけど、なかなかヒナが孵らない。親鳥が卵を巣から落としてしまうのです。それでも、ひたすら待っていたら、ようやく、ヒナが孵った。「ちび」と名付けて、可愛がった。ひえもあわもお水も、ハコベも欠かさず与えていた。なのに、ある時、何かがあって、しばらくひえやあわやお水をあげるのを怠っていた。それで、そろそろハコベをあげようと小学校からの帰り道、ハコベを摘んで家に帰ったら、母が「ちび死んじゃったよ」とポツリと言った。「えー」と。「ちび」は、水が空っぽになった水飲み場に頭を突っ込んで死んでいました。ひえやあわも、あると思っていたけど、ふっと吹いたら、殻が飛んで行った。そう、餌や水が切れてしまっていたのです。せっかくハコベをあげようと、摘んできたのに、「ちび」は死んでしまった。そしてその夜、「生き物を飼う時は、命に責任を持たなければいけないんだよ。命を守らなければいけないんだよ」と、父と母に言われ、返す言葉がなかった。翌朝「ちび」を庭に埋め、餌としてあげるつもりだったハコベを供え、アイスクリームキャンディーの棒で「ちびの墓」と墓碑を刻み、「もう、小鳥を飼うのはやめるね。ごめんね、ちび」と「ちび」に謝った。ハコベは、「ちび」につながっている特別な花。可憐で、清楚で、生命力の強い、そして「ちび」への最後のプレゼントの花。今、住んでいるところは自然がそこそこある土地なのに、ハコベがいない。ホトケノザや、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリや、すみれは咲いているのに。だから「草の辞典　野の花・道の草」で、「ハコベ」のページを開いた時、「ちび」に出逢えた気がしたのです。お世話を怠った私を、「ハコベ」の宇宙がゆるしてくれた気がしたのです。もう、50年近く昔のことなのに、、、。だからどうしても「ハコベ」の宇宙を表現したかった。「ちび」への想いを込めて、、、、。
　あぁ、また、話が脱線してしまった。すみません。材料費がそこそこかかっていることと、ミシンとお裁縫が苦手な私の腕を考慮した価格設定です。裏地はリバティのスリーピングローズ。清楚な感じです。持ち手は、「ジュウシマツ」つながりで鳥さんの柄のカフカリボン 。60mmのリネンテープ で補強しています。でかめですが、この大きさが私のスタンダードです。冬は、手袋や、マフラーを喫茶店などで外すときに、でかめのバッグだと収納しやすいので、冬物のバッグはでかめに作ります。いつものことですが、究極の自分仕様です。2kgぐらいの荷物が余裕で入ります。 持ち手がクシャクシャになって、新しいものと交換してほしいとのことであれば、有料になりますが、交換可能です。カフカリボン も、リネンテープ も、ちょっと高いです。合計3,500円（税込）ほどです。それに送料をご負担いただきます。但し、カフカリボン の在庫がない場合がございます。その場合は交換できません。ご了承ください。ペタンコでかバッグなので、マチはありませんが、かなりたくさん荷物が入ります。バッグ本体と裏地は手縫いで縫い合わせています。気をつけて縫っておりますが、使用頻度が高いと、縫い合わせた糸が解けてくる場合がございます。お客様の方で、縫い合わせ可能と思いますが、送料はいただきますが、縫い合わせは無料にて承ります。また、メンテナンスには可能な限り対応いたしますので、何かございましたら遠慮なくご連絡ください。ただし、故意によるものには対応できません。ご容赦ください。ちょっと感傷的でもあるけどお気に入りの作品に仕上がりました。

《使用糸》 野呂英作　くれよん　ウール100％
　　　　　ブリティッシュエロイカ　ウール100％（英国羊毛50％以上使用）
《裏地》 リバティ（タナローン）コットン100％　
《持ち手》 カフカリボン ドイツ製
　　　　　リネンテープ リネン100％　ドイツ製