ポーチ　忘れな草

　以前から、忘れな草のポーチを編もうと思っていて、参考までにと、ネットで「忘れな草」を検索したら、今はいろんな色の忘れな草があって、ビックリ。そして、私の子どもの頃は、その辺に咲いている雑草だと思っていたら、今は、園芸用に売っている品種と知って改めてビックリ。ネットで「忘れな草」を検索した時に出てきた、何種類かの色の忘れな草を見て、「全部編み込みたい」と。忘れな草の花を葉っぱが囲んでいる模様をメインの模様にして、小さい忘れな草を編み込んで、とデザインが固まってきて、「そうだ！ベースは何かの時のために取っておこう！」と思って寝かせておいた、アムネシア（イタリア製）という、リネン81％、ナイロン19％のブラック系の糸を探しに倉庫（私の部屋）をガサゴソしたら、４玉出てきました（ネップのある、変わり糸で、編み地は不揃いになります）。「これだけあったらポーチとデカめの丸底バッグができる」と。早速、ポーチを編み、色の出方を確認。いい感じ。すぐにバッグも編みました。
　バッグでは、裏地にリバティを使いましたが、ポーチは、裏地に、お手頃価格の、忘れな草にも見えるような柄のものを使って、お値段を抑えました（お裁縫が苦手な私の腕も考慮しています）。作った自分が言うのもなんですが、可愛い！（自画自賛）
　ついでに忘れな草の花言葉をネットで検索したら、「私を忘れないで」の他に、「誠の愛」、「真実の愛」というのもあり、春を告げる、切ないイメージの花と書かれていて、思い浮かんだのは2019年1月に亡くなった父のこと。父は満州からの引き揚げ者です。父は、満州からの引き揚げの途中で、父の母と、下の妹を発疹チフスで亡くし、上の妹を守りながら、子ども二人っきりで引き揚げて来ました。とても大変だったろうと思います。この父の少年時代が悲惨だったせいか、父は時々ヒステリックになったり、怒鳴ったりして感情のコントロールがうまくできない人でした。父は、数学の教師で、教育者としては優秀だったのか、最終職は、県の教育委員会の教育長でしたが、家庭の父親としては、どうしようもない人でした。思春期の頃は、父とよく衝突しました。けれど満州のことを調べていくうちに、あまりにも悲惨な引き揚げ体験をした父の姿が見えてきて、ふと、思い出したのが、父の「まず、自分の頭でものを考え、行動しろ」と、子どもの頃から何かにつけ言われた言葉でした。教師らしい父の言葉といえばそれまでですが、父から、そう言われ続けたことが、今の自分のベースになっていることに気がついたのです。父は満州からの引き揚げの途中で、頼りになるのは自分だけという状況の中で、自分の頭で考え行動せざるをえなかったのだと。そして、「まず、自分の頭で考え行動する」ことをベースに置くことがとても大切なことだということを身をもって知ったのだろうと思ったのです。そして、子どもの私に、そのことを叩き込んだのだろうと。その父の思いは確かに「真実の愛」であり、「誠の愛」であり、「そのことを忘れるな」という父の言葉でもあったのです。それに気づいた時、父への感謝の気持ちでいっぱいになりました。その父の教育の結果、ぶっ飛んだおばちゃんになった私！やれやれ、また、話が脱線してきた。いかんいかん。
　ー忘れな草ーどなたにも誰かに対して「忘れないで」の思いがあるはず。その思いを大切にしたいなぁと思いながら製作しました。少し切なくて、愛のこもったポーチです。　

中にエアクッションを詰めて撮影しています。

《使用糸》 アムネシア（イタリア製）　リネン81％、ナイロン19％
　　　　　コットンコナ　綿100％
　　　　　スビンゴールド　綿100％
　　　　　カブレ2005（廃番）　綿100％
《裏地》 綿100％　国産
《ファスナー》YKK 国産