巾着　野の花たちのブーケ

　なぜか知らないけど、私が好きなのは、野の花ばかり。子どもの頃の原風景が、野原で咲く花たちばかりだったせいかなぁ？ふきのとう、つくし、スギナ、ハコベ、ハルジョオン、ヒメジョオン、シロツメクサ、アカツメクサ、わすれな草、たんぽぽ、アザミ......　そして、初夏は、近所の田んぼに夜出かけて、ホタルを見て、川にいるヤゴに、「無事にトンボになぁれ」とお祈りして、夏の終わりには、ひっつき虫。友だちと、ひっつき虫を投げあって遊んだなぁ。秋にはりんご農家の友人のりんご畑で、木登り。過ごしやすい春や秋には自分だけの秘密基地に、お菓子と本を持ち込んで、空が暗くなるまで、読書。そういえば、メジロのひなを拾ったこともあった。家で育てられるかと、家に持ち帰ったけど（本当はしてはいけないことです）、結局死んでしまい、庭にお墓を作って埋めて、アイスクリームキャンディーの棒で、墓碑を刻み、父から、「野生のものは、野生の中でしか生きられない。覚えておけ」と教わった。考えてみれば、小さな生き物たちに相当悪さもしたなぁ。ホタルがとても綺麗だったから、家に二、三匹持ち帰り、死なせてしまったり、ギンヤンマが羽化しているところを見つけ羽を持って、自分の家に持ち帰り、自分の部屋で羽化を見届けたら、羽の手で持った部分が、完全に開かずに、飛べなかったギンヤンマ。そんなことをしながら、命を生かすためにしてはいけないことを教わった気がする。そういえば、冬の終わりに自生しているネコヤナギを、父と見つけ、父が「子どもの頃、住んでいたところにネコヤナギがあった。懐かしい思い出だ」と、感慨深げに話していたこともあった。今、考えると、その地は、満州だったのだろう。2019年1月に亡くなった父は、満州からの引き揚げ者でした。父は、11歳で引き揚げをはじめ、日本に帰国したのは12歳の時。引き揚げ途中で、父は、父のお母さんと、下の妹を発疹チフスで亡くし、上の妹と子ども二人っきりで、命からがら日本に引き揚げてきました。父の父は、シベリアに抑留されていて、一緒に引き揚げができなかったのです（その年の父の年齢から言って、私はかなりのおばちゃんです。子どもがいないせいか見た目、若く見られますが、アラ還のおばちゃんです・笑）。
　また、話が脱線してしまいました。いかんいかん。今回は、子どもの時によく見かけた、シロツメクサとアザミと、アカツメクサを編み込んだ巾着を作りました。野の花たちのブーケのバッグの試し編みです。巾着としての完成度も考え、バッグとは、少し使用する糸を変えています。バッグは、シロツメクサをメインにしましたが、巾着は、全体に目がいくようにベースの糸を変えています。ちょっとしたパーティーなんかにも活躍しそうです。野の花たちの装いは、心がしんと染み渡る美しさ。持っているとなんだか心が落ち着きます。お気に入りの作品に仕上がりました。革ひもをを外して、手洗いOK です。アイロンもスチームアイロンで大丈夫です。お出かけのお供にどうぞ。

中にエアクッションを詰めて撮影しています。

《使用糸》 コットンコナ（廃盤色を含む）綿100％
　　　　　スビンゴールド　綿100％
　　　　　アプリコ （廃盤色） 綿100％
　　　　　襲（廃番）　絹100％
　　　　　カブレ2005　綿100％
《裏地》　リバティプリント（タナローン ）綿100％
《ひも》　革ひも（国産）（絞った時の長さ　約24cm)