鳳凰　宇宙からの愛2012

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日本画
美濃紙、水干、岩絵の具
M30　木製パネル張り
天然木（さくら）フレーム入り

あまりに大きく見たことがない、知らないものは、見えないようです。
見ていても気が付かないらしい。
私たちが気づかないだけで、とても大きな存在に見守られている。
何も知らないだけで、多くの存在に助けられている。
愛されている。
誰一人漏れることなく・・・

鳳凰という象徴的な姿で表現しました。

岩絵の具は鉱物を砕いた絵の具で、のりの役目をする膠で溶いて描いています。
そのため、とても表面がキラキラして、宝石のようです。


この絵を描いたのは、2012年冬。震災から一年がたとうとしていました。
多くの人がそうであったように、3.11の後、これまでの価値観が崩れ去り、いろいろなことを見直すようになりました。その結果、勤めていた絵画講師を辞めることになりました。いろいろな関わりからも逃れ、寒くなるのと同時に冬ごもりをするかのように静かに自分を見つめなおしたくなり、無性に絵を描きたいと思いました。そして、2点の絵を仕上げました。そのうちの一点がこの絵になります。

この絵を描き上げ、人生の一仕事終えたようなすがすがしさがありました。
この年、春に家族でお花見に行きました。とても久しぶりでした。
父が、秋に亡くなりました。だんだん食が細くなり弱っていきましたが、みんなにありがとうと言い、自分の最後を受け入れているような最後でした。
亡くなってからようやく、父の大きさ、素晴らしさに気づいたものです。
私は、父にありがとうと言えなかったな。けど、そんなものかな。
今思えば、この絵は父のためのものだったのかもしれません。