幻想鉱石　インクルージョンクォーツ　小さな森

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ご覧いただきありがとうございます。
こちらはインクルージョンクォーツ　「小さな森」という作品です。
大きさはW2cm,D1,5cm,H4cmです。
黄変しにくく透明度の高いエポキシレジンにサルオガセ、水晶、フデリンドウなどを封入してあります。
宇宙産のインクルージョンクォーツという設定で作っております。

お話はこちらです。

黒猫博士の朝は遅い。とりわけ時空間旅行から帰還した後は。
私はアトリエを片付けながら博士の登場を待っていた。
なぜならテーブルの上に恐ろしく美しいインクルージョンクォーツが置かれていたから。

フレンチトーストをかじりながら、ようやく博士がキッチンから姿を見せた。

「やあ、綺麗だろう？それ？
これは恒星クロノスで発見したんだがね
このインクルージョンクォーツをよく見てご覧
ほらここ、この紫色のところリンドウみたいだろう？
それにほら、この部分にはサルオガセのようなものが見えやしないかい？」

「へえ、そんな事ってあるんですかね？」と首をかしげる私に
博士はこう続けた。

一説によればこの世界は９次元まであるらしい。
我々のいる場所は３次元だろう？
すると、まだあと６次元もあるんだよ。

もしそうであるならば
花や苔の入ったインクルージョンクォーツだって存在してしかるべきなのではないだろうか？

博士と私はしばらくそのインクルージョンクォーツを眺めていた。
「何だか優しい感じの鉱石ですね？」
「ああ、そうだね。小さな森のようにも見える。」
夕闇が長い手を伸ばして窓から忍び込んできても、私たちはそのままでいた。
遠くのラヂオからスーザン・ボイルの歌声が流れていた。